マクグレイディがコビーを？

完璧な入れ替えの神話

「マクグレイディをコビーに差し替える」なんて、現実とはほど遠い話だ。 TikTokやYouTube Shortsで『もしマクテールが3冠なら？』と騒いでいる人もいるだろう。だが、ブルックリンの街角から見た真実とは――優勝は才能だけで与えられるものではない。 コビーは初優勝前に徹底的に鍛えられた存在だった。そして初優勝戦、ポートランド戦で15点差をひっくり返したのは、単なる根性ではなく『生き延びた』からだ。

意外に無視されがちな運要素

2年目（2001年）のファイナルはサクラメントに圧倒的勝利したが、ダンカンがゲーム5の半分欠場していたことを忘れてはいけない。また前年のシャックも怪我からの復帰直後で、チームとしてまだ磨きが足りなかった。 そして2002年ファイナル4戦目――ディビンチェンゾ（正確にはDiVaz）のパスがサイドラインから跳ね返り、アーテストに奪われるシーンがある。そのボールはアーカー外れだったが……ホリーの一発三分！ 一つの跳ね方で世界は変わったかもしれない。 マクグレイディなら決められたか？可能性はある。だがその瞬間に備えていただろうか？

才能と状況：本当に重要なのは何か？

『エリート才能』という言葉を軽く使う人が多い。だが私の意見としては――マクグレイディには確かに輝いた瞬間があった。トロント時代にプレイオフで30PPG超えも経験している。しかし……彼にはシャックのようなMVP級センターと組んでプレーしたことがない。 もしマクグレイディがコビーではなくシャックとペアになっていたら？毎夜人間壁とのピックアンドロールを繰り返せたはずだ。数字的にはさらに光ったかもしれない。 だからこそ言える――この時代における両者の違いは技術ではなく、システム＋タイミング＋傷跡＋互いへの信頼にあるのだ。

「もし」物語はどうして失敗するのか

別世界への夢想は楽しいものだが、それが事実だと信じてしまうのは危険だ。 湖人の優勝は完璧だったわけでも必然ではなかった。誰も信じてなかった時期にも諦めずつなぎ止めたからこそ成し遂げられたのだ——特にポートランド戦7戦目の末路以降に顕著だった。 正直なところ…… コビー以外の人間が3連覇まで持ちこたえたと考えるのは幻想に近い。内部での亀裂もあった（本当にある）。 これはマクテールや誰かを貶すためではない。ただ実際に起きたこと——揺らぐチームでありながら火中の煉獄の中で奇跡を起こした事実を尊重するためだ。 伝説とは生まれるものではない。「圧力」「不完全さ」「現実」によって鍛え上げられてこそ誕生するのだ。