崩れなかった頂点

数年間、NBA選手のパフォーマンス予測モデルを構築してきた。その中で浮かび上がったのは、MVPクラスの選手たちがピークを迎えるのは26〜29歳という法則だ。身体的支配力と経験値の融合期。

ジョーダンもレブロンもカリーも完璧なタイミングだった。だがコビーだけはデータ上での例外だった——それが彼の物語を切なくする。

孤独な黄金期

2004〜2007年、コビーはまさに頂点に立っていた。PERは複数シーズン30以上を記録し、才能に乏しいロスターを引っ張った。しかし同じ時期に本選出たのはたった1度だけ。

なぜか？　当時、All-Star級の味方がいたのはポウ・ガソル（2008年加入）ただ1人だったからだ。

それ以前はクウェイム・ブラウンやスマッシュ・パーカーといった役割プレイヤーばかり……チャンピオンシップを成すための基盤は存在しなかった。

データには嘘がないが…

ファンからは「ガソル加入後二冠」「シャックとの対決」などと語られるが、これらはすべてピーク過ぎてからの話だ。

真実とは、「優勝数」だけで偉大さを測るのではないこと——潜在能力が失われた瞬間こそが悲劇だ。

Age 26〜29におけるオフェンス効率とチーム力（All-Star出場者数や影響力指標）との相関分析から導かれる結論：もし当時1人でも優れたウェイングやアシストマスターがいれば……

ファイナル進出は確実だった。三連覇も可能だった。評価軸自体が変わる——「勝てなかった」ではなく「勝てる環境を与えられなかった」のだ。

スポーツ分析における孤独のコスト

繰り返し試合映像を見つめ直した。誰も起たない時にどうしてコビーだけが最後までボールを持ち続けたのか？　何回も三重マークの中へ切り込んでいったのか？

これは英雄主義ではない。データに基づく必然性だ。 私のモデルでは、チームオフェンス価値の35％以上を担いながらサポートを受けない選手は持続不可能な状態にあると判断される——勝っても限界があるのだ。 30歳を超える頃にはその負荷は回復不能になる。コビーはそれを早々に感じ取った——そして我々は何度も助けを求めることさえしなかったのである。