ゼロの重み

2025年8月9日、マプトゥ・レールウェイ戦でスコアレスドロー。ゴールも、歓声も、ニュースもなかった。しかし119分間、彼らが守り抜いたのは「倒れないこと」だった。

私はマプトゥ旧市街のバルコニーから試合を観ていた。かつて子供たちに古びたスニーカーでシュートを教えた記憶がある。今、彼らは「存在認知」のためにプレーしている。

黒牛とはチームではない。象徴だ。1987年、バオバブの大木の下で生まれたこのチームは、全国優勝はないが、「自分らしさ」を一度も捨てていない。

誰にも見えない守り手たち

マプトゥ・レールウェイ戦では63％の支配率、決定機ゼロ。彼らは圧倒したわけではない。ただ「抑えた」だけだ。ハイライトにならないプレーはSNSで拡散されない。

だが……ここに来て私は思う。「サッカーが公平じゃない」という現実を受け入れざるを得ない。

ダマ・トーラ・スポーツ戦では14:47:58に最終ピッチが鳴った。2時間2分間、絶え間ないプレッシャーの中での敗北だったが、最後のヘッドショットさえ運命に翻弄された。

数字を見れば明らかだ：

• 平均パス成功率：67%
• 期待得点（xG）と実際得点差：+0.4（逆転不調）
• リーグ最少ファウル：首位

これは無能ではない。静かなる統制である。

スコアボードを超えて

「勝つことがすべてじゃない」と言う人は、「敗れても立派な姿勢」を言うものだが…それなら、「正義を持って敗れる」とはどういうことか？

黒牛は弱くない。ただ「視線のある場所」にはいないだけだ。

かつて私が指導した子供たちも同じ顔つきだった——暗い肌、朝から労働した疲れた目で夕方まで練習する日々。「どうして私たちより強いチームに勝っても誰も言及しないんですか？」と尋ねられたことがある。

「きっとね」と言った。「勝利には音が必要なんだよ。あなたのチームは『静けさ』を選んだからさ」

真実は穏やかに心を打つ——失敗のようにではなく、「忘れられる」という痛みだ。

それでもいるのだ。「見ています」と手作り看板を持ち寄るファンたちが……結果を変えられないけれど、「忘れない」と誓うためだけに。

公正とは何か？

サッカーには公正があるはずなのに…公正というのは既に“見える者”にとって都合よく作られている。 黒牛はリーグ上位並みの守備連携を持つのに、視線とスポンサーが向かないままランキング下位にあるのは当然のことだろうか？ これは一チームのことではない——光がない場所で闘うすべての下克上の物語だ。 もし“持続的貢献”を“華麗な爆発”と同じくらい価値あるものだとしたら？もし「自制心」を「冒険心」より評価する世の中になれば？ あなたが「結果より正義」を選ぶなら——拍手はないけれど、応援するべきだ。 次の相手はジンバ・ユナイテッド——大物選手獲得と数千万円級TV契約を持つ強豪だ。多くの人が再び敗北を見込むだろう…だがそここそ、「勇気」が必要になる瞬間かもしれない。